2021年度大学入試 「結局何が変わるの?①」
最後のセンター試験も終了し、今年度の大学受験も早慶を中心とする最難関私大と国公立大学の入学試験を残すのみとなりました。そこで少し気が早いですが、新テスト導入に揺れる来年度の大学入試の動向を探っていきたいと思います。歴史的な制度変更に対して、過剰な心配をなさっているご家庭もあろうかと思いますが、以下の分析から見えて来ることは、従来と同様に落ち着いて学力を養いさえすればきちんと道は見えて来るという事だと理解してください。
センター試験廃止⇒大学入学共通テスト導入へ
まずは、これまでの歴史を簡単に振り返っておきたいと思います。1990年に導入されたセンター試験は、マークシートの形態を取りつつも「考えさせる問題」を織り交ぜる事で総合的な学力の評価を可能にしたと言われてきました。しかしながら、政府は「先行きが予想しづらい今後の社会においては、知識量よりも問題発見能力や新しい価値を生み出す能力が重要になる。」として、思考力・判断力・表現力等々を重視した新テストの在り方の改革を模索し始めました。
記述試験導入を目指したが、、、結局取りやめ
改革の一環として文科省の元々の方針では国語と数学の一部に記述式試験を導入すると共に、英語に関しては民間検定試験の成績を入試結果に反映する方式を模索していたものの、共に制度に関する不備不安を指摘された結果、導入は棚上げとなりました。
国語に関しては、マークシート方式と並行し、別の大問として80から120文字程度の論述を求める問題等を出題する予定でした。また数学でも同様に、問題を解くための構想から結論までのプロセスを記述させることで、問題解決能力や構想力を浮き彫りにする狙いを持っていました。
しかしながら、50万人以上の回答を果たして限られた時間内で、平等に採点できるのかという点を疑問視する意見は大学・高校双方に根強く残りました。解決策として、従来通りマークシートは1月とし、記述式のみ数カ月前倒しとする案も出ましたが、高校サイドからの「学校の行事や授業への影響が甚大である。」との懸念が強く、見送られた経緯があります。
英語の4技能民間試験も事実上棚上げに
文科省としては大学受験生に、英検やGTEC等の民間試験のスコアを活用してもらう事で、従来の「読む」、「聞く」に加えて「話す」、「書く」を含む4技能評価の完成を目指していましたが、これも不安解消の目途が立たないとして実施延期が決まりました。
何だかどの科目も元の木阿弥のようですが、結局のところ来年度は何がどのように変わっていくのかという点を次回分析していきたいと思います。